患者さまに優しい
静心クリニック
暮らしをデザインする Design House and U(アンド・ユー)
20世紀のモダニズム建築を象徴する、ドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエ。今回は彼がその生涯で残した、代表的な2つの建築と1つの家具を紹介します。
ミース・ファン・デル・ローエは、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトとともに、“近代建築の三大巨匠”に数えられる名建築家。近代主義建築のコンセプトを確立した建築家とも言われる彼ですが、意外にも大学などに通うことなく、地元の職業訓練学校で製図工の教育を受けたのち、漆喰装飾のデザイナーを経てそのキャリアをスタートさせています。
数々の建築とともに彼が残してきた、「Less is more.」(より少ないことは、より豊かなこと)や「God is in the detail」(神は細部に宿る)などの標語は、いまなお多くの人々に知られています。
今回は、そんなミースが手掛けた正統派モダニズムの作品を紹介します。
ミースの代表作とも言われるのが、シカゴ郊外に建つ「ファンズワース邸」。
鉄とガラスからなるミニマルな佇まいは、周りのグリーンと調和し美しいバランスを保っています。そのすっきりと洗練されたデザインは、機能的で合理的。モダニズム建築の在り方を示す作品と言えます。
また、ミースはこの邸宅で、これまでオフィスなどの建築に用いていた「ユニバーサル・スペース」の概念を実践しています。ユニバーサル・スペースとは、柱と梁のラーメン構造による均質な空間のこと。この概念を採用することで、構造上つくらざるを得ない柱などを隠し、ひとつながりの床の上で暮らすようなスタイルを実現することができます。周囲の環境に溶け込み、自由な住まい方を可能にしたファンズワース邸は、ミースの建築思想の集大成とも言えるでしょう。
1929年のバルセロナ万国博覧会に合わせて建設された、ドイツ館こと「バルセロナ・パビリオン」もミースの設計によるもの。こちらも「ファンズワース邸」同様、鉄とガラスで構成されていて、大理石の壁が特徴的です。内部には大理石のほかにも、オニキス(縞瑪瑙)や緑色テニアン大理石、トラバーチンなどさまざまな石材が使用されていて、モダンで抽象的な空間を引き立てています。
また、空間を完全に仕切らず、回遊性を持たせた流動的な構造は、フランク・ロイド・ライトから影響を受けたのではないかと言われています。
博覧会終了後、取り壊された同館ですが1986年に同じ場所に復元され、現在は「ミース・ファン・デル・ローエ記念館」として公開されています。
ミースは時に建築だけでなく、内装や家具に至るまでを自身の手でデザインしました。彼が手掛けたいくつかの家具のなかで、最も有名なのが前述のバルセロナ・パビリオンに置かれた「バルセロナチェア」です。
Xの形になだらなか流線形を描くステンレスフレームと、白い革張りのクッションが印象的なこの椅子は、バルセロナ万国博覧会の開会式典でスペイン国王夫妻を迎えるためにつくられたもの。椅子の幅、奥行き、高さは等しく設計され、全体がきれいな立方体に納まるデザインになっています。スタイリッシュななかにも気品あふれる、まさにフォーマルな場にふさわしい逸品です。
バルセロナチェアは現在もモダンデザインの傑作として世界中で愛されており、家庭や企業の応接室などで重用されています。
Design House and U(アンド・ユー)は、静岡県浜松市にあるデザインされた住宅を得意とする
住宅デザイン設計と施工をする会社です。